桜木花道という魅力について〜第二部

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「左手は添えるだけ…。」

 漫画「slam dunk」における「桜木花道についての魅力」第二弾です。
 今回のブログの挿絵をインターネットで検索したのですが、ウェブ上に数々の名シーンの画像が出てきただけで楽しくなってしまって、使う画像を選ぶことだけで2時間程度も費やしてしまいました。
 山王工業戦の画像だけでも、これも使いたいあれも使いたい…で取捨選択なんてできません。
 本ブログ「第二弾」では、そんな名シーンの玉手箱「山王工業戦」と桜木花道という男についての総括をさせていただき完結としたいと思います。

vs山王工業戦

 「つ、強そうだなぁ…。」
 みんな坊主です。
 それでも、それぞれにオーラがあってキャラが立っている感じです。
 リアルでも、本当に強い高校チームってそんな感じじゃないですか。
 単純にそれぞれのキャラの「側」を個性的に描いて個々のキャラを無理矢理に立てようとする感じじゃなくて、滲み出る感じで本当の強者が描かれていて、この辺りも流石、井上先生です。

 第一弾でも説明したとおり、この相手チームは
  日本高校界最強
です。
 その強さは圧倒的です。
 この高校のOBだけ集めてバスケット日本代表が完成するレベルです。
 そんな最強山王と花道要する湘北高校は、インターハイ2回戦で激突し、そして、この漫画のフィナーレを迎えることになります。

前半の奇襲

 山王工業と湘北高校は、いわば、レアルマドリードvsコンサドーレ札幌の試合みたいなものです。
 決戦前夜、監督の安西先生は、自力では圧倒的不利である湘北高校がいかにすれば勝てるかを徹底的に追求していきます。
 名将安西監督の本領発揮が描かれます。
 100回対戦して100回負けることはない。
 1/100の勝利をここに持ってくるために、やるべきことは全てやる。

 そんなシーンです。
 戦術を徹底的に練り、そして、選手のコンディションを安定させるために尽力します。
 他のメンバーよりも精神的には安定している花道でも、やっぱり他のメンバーの様子からして今までの相手とは違うということを何となく感じています。
 1人でビデオで自分のプレーを研究している花道の元へ安西先生が訪れます。
 会話の中で安西先生が
 「おや、君に怖いものなんてあったかね。」
と問いかけ、花道は少しだけピクッとした後、
 「ない。」
と言い放ちます。
 安西先生は、花道が感じているほんの小さな気負いに対するフォローを行い、花道の性格をガッチリ掴んでいます。
 そして、他のチームメイト達にもしっかりと性格を掴んだ声かけを行い、ハートキャッチして、チームの心理的コンディションは最高潮となります。
 そして、試合が始まります。

 安西監督が最初に取った戦略は、「奇襲」です。
 湘北高校のポイントゲッターは、流川、三井、赤木です。
 データを集めて挑んでくる相手は、当然この3人をマークしてきます。
 そこで、宮城、桜木による奇襲作戦で意表をついて、混乱させる戦法です。
 そして、花道のいきなりのアリウープダンクが炸裂します。

 10回に1回出るか出ないかが出ます。
 そして

 自分でもビックリ。
 なんて愛らしいんでしょう。
 普段は、「天才桜木」なんて自称し、自信満々の彼が見せた素の表情です。
 花道の純粋で、感情を隠さないところは本当に愛着が湧きます。

 宮城、花道による、これでもかという奇襲が決まり、会場をどよめかせたのですが、それでも山王工業は特にペースを乱すこともなく、冷静に攻め立ててきます。
 しかし、集中力にムラのある、山王工業の絶対的エース沢北が集中力を欠き、シューター三井の3ポイントが恐ろしいほど決まり上々の立ち上がりとなります。
 そして、山王工業は、2メートルを超える長身の1年生河田美紀男を花道にぶつけてきます
 山王工業としては、山王工業の将来を背負う長身の1年生に経験を積ませるのも目的のひとつでした。
 花道は、序盤、美紀男の物理的な圧力に苦戦を強いられますが、安西監督や赤木からの助言を受け、スピードと運動量で美紀男を圧倒し、持ち前の身体的センスでパワーでも凌駕していき、逆に美紀男をチンチンにします。
 美紀男が花道の前でうまくプレーできないことにイライラし、つい、手を出して花道をコートに転ばせてしまいます。
 はっとして「ご、ごめん。」と謝る美紀男に対し、花道は起き上がり、おっとこ前な笑顔で「勝負じゃねえか」と拳を突き立てます。
 そして、前半はなんと2点のリードで終えることに成功するのです。
 安西監督の作戦がことごとく上手くいった訳です。
 しかし、山王工業に焦っている様子は全くなく、不気味な雰囲気だけ残してコートを後にします。

怒涛の後半〜オフェンスリバウンド

 この後半戦がまあ熱い。
 凄まじく動く展開の中、花道のプレーが鳥肌に継ぐ鳥肌を生みます。
 後半開始早々、山王工業のお家芸「ゾーンプレス」が炸裂します。
 選手全員で前に攻めるようにフルコートでディフェンスをしてくる相手に、湘北高校は攻め手を失い、あっという間に逆転を許し、その後もボールをコートの中央までも運べない状態が続きます。
 コート上のメンバーは、正になす術なく、点差は一気に20点差近くまで引き離されます。
 すると、安西監督は、一旦花道をベンチに引かせます。
 花道は、安西が負け試合を認めて3年生の小暮を引退試合に出させたと思います。
 が、しかし、安西は、花道に試合の流れを外から見せることで、湘北高校には何が必要なのかを悟らせます。
 オフェンスリバウンド。
 「なんだオヤジ、まだあきらめてなかったのか。」
 「ん?諦めたらそこで試合終了ですよ?」
 ここからの怒涛の追い上げに対する明確な役割を与えられた花道は、30点差近く点差をつけられた満身創痍の赤木にカンチョーをするとともにチームメイトに激を飛ばし、さらには、来賓席の机に上がり、観客席に向かって
  「ヤマオーは俺が倒す!バイ、天才桜木!」
と言い放ちます。
 花道は、追いつくためには自分が切り札になるという監督やベンチメンバーからの期待を実感して感極まり、さらには、折れかけているチームメイトの心をもう一度奮起させるために花道にしかできない行動をとったのです。
 「これで勝つしかなくなっただろ?」
 そこから、花道の確変が始まります。
 花道に与えられた役割は、オフェンスリバウンドです。
 ここまで、リバウンド力を買われて山王工業のスタメンに抜擢された野辺に対して、うまくリバウンドをとらせてもらえていなかった花道。
 しかし、役割を明確にされて、リバウンドに全集中力を注いだ花道は、身体的センスが本領発揮して、そのバネとジャンプスピードで次々とリバウンドを奪取します。まさに天才です。
 コートにいるプレーヤーや監督達、観客をも震えさせるその運動能力が開花します。

 相手選手が一回ジャンプして着地する間に、花道はすでに2回目のジャンプを飛んでいるのです。
 安西先生もつい「ブルッ」と震えてしまいます。


 そして、花道がオフェンスリバウンドをことごとく拾ってくれるお陰で、三井の3ポイントが決まり出し、なんとか追い上げの期待が生まれたのです。

怒涛の後半〜選手生命の危機

 花道のリバウンドで息を吹き返した湘北高校は、いいムードで徐々に徐々に点差を縮め始めます。
 そして、山王工業の名将堂本監督は、なんと、日本ナンバーワンセンターである河田兄を花道にマークするように指示します。
 湘北高校のいいムードを作っているのが花道であることに気づいていたのです。
 河田は身長もパワーも圧倒的で、それまでマークしていた赤木さえも手も足も出ない選手です。
 その河田がマークにつき、リバウンドを取りに行った花道が河田に吹っ飛ばされます。
 そして、その勢いのまま、湘北高校は、山王工業のソッコーを受け、河田がアリウープに行きます。
 しかし、花道は、誰も反応できないソッコーに気がつけば追いつき、河田へのパスを空中で弾き出します。
 あるシーンで負けても次のシーンで取り戻します。
 常に全力なのです。


 すると、今度は山王のエース沢北が覚醒します。
 1on1で沢北に勝てる高校生はいません。
 湘北のエース流川でさえ、徹底的に抜かれまくります。
 沢北の恐ろしいほどのオフェンス力で、再び点差は20点近くに引き離されます。
 しかし、そんな中、これまでボールを持てば1人でシュートまでいっていた流川が、パスを出し始めるなどして沢北を翻弄していき、覚醒します。
 そして、遂に沢北を抜いてドリブルしゴールへ向かう流川だったのですが、次の瞬間、意外な位置に立っていた花道とぶつかって攻めのチャンスの目を失います。
 しかし、消沈したかと思った花道でしたが、今度はディフェンスのシーンにおいて、意外なコースに急に現れて沢北のドリブル突破を封じます。
 また、花道はそのシーンでやらかしても、次のシーンで取り戻す働きをするのです。
 花道と流川の覚醒により、さらに追い上げムードが強くなります。
 花道の運動量は半端ではなく、ことごとく味方を助けます。
 赤木が、そんな花道を「湘北にとって必要な男になったぞ。」と見つめていた時、花道がラインを割りそうになったボールへ飛び込んで、ボールをコートの中へかき入れると、そのまま来賓席へ背中から突っ込み、倒れたまま動かなくなります。

怒涛の後半〜左手はそえるだけ

 花道は、すぐに起き上がるも、背中を強打したことにより、徐々に徐々に激痛に襲われます。
 動くと「びぎっ!」っとする痛みです。
 ギックリ腰になったことがある方は分かると思いますが、あんな痛みだと思います。
 花道は、一旦はコートに戻るも、動きがギクシャクし、一旦は持ち前の根性と野生の反応で好プレーをしますが、そのままコート上に倒れ込みます。
 せっかくの追い上げムード、自分がチームの役に立っているという充実感。チームメイトの思いに自分が貢献できいると実感できている中での負傷。
 明かに軽傷ではありません。
 安西監督に出場を止められる花道。
 しかし、花道の頭には数々の想いが駆け巡ります。
 そして、最後に春子さんの「バスケットはお好きですか」が頭の中に響きます。

 花道、バスケットが大好きなんです。
 数々の強敵との対戦。夢に向かって真っすぐな仲間達。そして、成長する自分自身と周囲からの期待で感極まり、花道は再びコートに戻っていきます。
 花道は、必死に食らいつきギリギリの精神力でなんとかプレーし続けるチームメイト達に声をかけます。
 「この天才がいなかったから心細かっただろう」
しかし、動くたびに背中に激痛が起き表情が歪む花道を心配するチームメイト達。
 しかし、花道は

 再びチームを奮い立たせます。
 花道の規格外の身体能力とパフォーマンスに心が動き、試合開始早々は、山王の応援一色だった観客も、湘北高校の終盤の粘りに心が打たれ、気がつけば湘北高校へのの声援の方が多くなっています。
 それでも、沢北、河田を中心に湘北のゴールに迫る山王工業。
 花道は、激痛のためディフェンスもままならず、河田弟がボールを得て、倒れそうになる花道を他所に、湘北高校の息の根を止めるゴールを狙います。

 一瞬の爆発力です。
 精神が身体を超えます。
 湘北高校絶体絶命を瀕死の花道が幾度となく防ぎます。

 ここにきて震えポイント全開です。
 そして、最終盤、三井のトリッキーなプレイで4点分の仕事をし、遂に1点差に詰め寄り、花道の鬼気迫るプレーで沢北を止め、これまで1度もパスを出さなかった流川にパスを出して、流川が逆転のゴールを決めます。
 この辺りから読んでいる人は、音が消えていることに気づきます。
 ヤバイです。「アレ?」ってなりますから。
 しかし、最強山王は、キャプテン深津のキャプテンシーと、沢北のスーパー個人プレーによって、再度逆転を許して再びリードされます。


 残り数秒です。
 絶体絶命の瞬間でしたが、ゴールが決まってしまった瞬間から花道は既に相手ゴールへ向かって全力で駆け出しているのです。

 残り8秒。1点差。
 山王工業も全く集中力が切れておらず、赤木はボールを一気に花道まで出せずにエース流川にボールを託します。
 残り2秒から1秒。シュート体制に入った流川の前には河田と沢北が立ちはだかります。
 流石の流川でも、まともに勝負するには分の悪さを感じ取ります。
 しかし、視界の端に。

 そうなんです。
 山王戦最後のシュートは、「スラムダンク」ではなく、
   右斜め45°からのジャンプシュート
なのです。
 花道は、全国大会の前に、安西先生とマンツーマンで、1週間でジャンプシュート2万本を打つという合宿を行っていました。
 その合宿シュートがこの試合のラストを飾ります。

 …はい。
 読んでください。
 すでに読んだという人はですね。
 ええ、もう一度です。
 きっと前よりも花道の魅力に気づき、スラムダンクを楽しんで読んでもらえると思います。

桜木花道という魅力について

 また読みたくなってしまいました。
 サイコーの漫画です。
 後半挿絵だらけになってしまいましたが、実は他にも挿しこみたいコマは沢山あったんです。
 絞ってこれです。
 記事を書いている途中、またまだ取り上げたいエピソードが多々あったのですが、31部作くらいになっちゃいそうだったので、端折っている部分も多いです。
 このスラムダンクという漫画には、他にも沢山の魅力的なキャラクター達がいます。
 それぞれのキャラクター1人1人で記事にすることもできるくらい、それぞれが丁寧に描かれていて、僕が好きなキャラクターは他にも何人もいます。
 それでも、やっぱり、僕の1番好きなキャラクターは
 桜木花道
です。
 桜木花道ってなんでこんなにも魅力的で、僕の心に響くキャラクターなんだろうなって考えて読み込んでみた時、花道って
 目標への直向きさ
 人へのリスペクトと優しさ
 素直で、自分をさらけ出せる心の強さ

をもち、そして何よりも、それらを
 真っすぐにアウトプットできる力
と、
 影響力
があるところが彼の魅力なんだろうなと思うのです。
  
 カッコイイすな花道。

 スラムダンクを記事に出来て幸せです。

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